「かばん」6月号特集、「短歌探検隊」の対談の続きです。
今回は千葉聡さんと森山緋紗さん(かばん、塔会員)が主催されている「クーベルチップ歌会」について、お話を伺いました。
話題に出てくる「ひねもす」は折田日々希さんが参加されている同人誌です。
また聞き手の高村七子は短歌と俳句の両方をやっております。
様々な話題が飛び出す対談を、ぜひご覧ください。
(文責・高村七子)
クーベルチップ歌会
折田
短歌を始めてしばらく経った人って、結社とか、それこそかばんとか、どこかに所属しようかって悩むと思うんですよね。ちばさとも教員として短歌を紹介する身として、そっちに繋げたりしてるんですか?
千葉
朝日歌壇に載りましたとか、そういう人が何人か出てくるでしょう。本当に書きたければこれからも応募続けるように促すとか、選者の馬場あき子さん繋がりで「『かりん』ていうグループがあってね」とか紹介はする。でもそこに入るかどうかは本人次第ですよね。
折田
クーベルチップ歌会を、森山緋紗さんとされてるじゃないですか。そこで短歌始めた人たちっていると思うんですよ。そこで短歌好きになりました、読むようになりましたっていう人たちの「その後」に対して、ちばさととしてこうしたいって思いはありますか?
千葉
森山緋紗さんはかばんに入ってくれてるし、塔にも入って活躍してるよね。だからこう、意識が高い人には「心の花もあるよ、コスモスもあるよ」とかいろいろ話をして、見本誌を取り寄せて自分に合いそうなところに入ることも勧めている。例えば永田和宏さんが好き、吉川宏志さんが好きとか、馬場さんに会って話を聞きたいとか。そういう憧れがあって、その人の作品も人柄も好きっていう人がいるんだったら、結社に入って、先生に弟子入りした方が幸せだと思う。俺は先生がいないから。自分が好きなのは沖縄文学の外間守善っていう先生で、外間先生を文学の師匠だと言ってるけれど、創作そのものを教えてもらったことはない。大学院の先生で、もう大きな人物だったからね。迷えるちばさとを抱えて、一生懸命論文の指導をしてくださって……。なんかそういう良い先生と出会えたから、他に師匠はいらないやと思ったんだよね。歌人の先生はいらない。歌人の先輩ならいっぱいいるし。ただ、やっぱり「馬場あき子に師事すること」って特別感があり、幸せなことでしょう。九十代であんなにお元気だし。島田修三さんもかっこいいし。だからそういう大きな感じで、誰かについていきたいと思うんだったら、師匠についていった方がいいのかなって思う。
折田
ちばさととしては、かばんを強くすすめるってことはあんまりしないんですね。
千葉
クーベルチップ歌会に来てくれた人に「じゃあかばんへ」って言うとさ、歌会をかばんのためにやっちゃってる感があるからね。かばんって割と無欲な集団なんで……。穂村さんも東さんも、「絶対にかばんに来て」って勧誘とかしてないじゃない。「かばん」の誰も、そういうことをしてないんだよね。かばんが人数多くなって豊かになればとかって、誰も思わない。自由な広場みたいな場所だから。来たければ入ってもらって……それでいいんじゃないかな。
高村
今クーベルチップ歌会についてお話が出たので、ちょっと詳しくお聞きしてもいいですか。どういう形態で歌会をされているとか、あるいは始められたきっかけとか、どんな人たちが参加してるかとかを伺いたいです。
千葉
子どもの本&クーベルチップという書店に集まって、月に一度。夕方一時間半くらい歌会をやっています。入会システムはないので、いつでも来ていいよって感じで毎回十人ぐらい集まって、森山緋紗さんがまとめ役をやってくれています。自分は公務員なので、お金を集めるような集団を運営しちゃいけないんです。だから自分も会費を払って、一メンバーとしてかかわっています。形式上主宰と言われることはあるけれどね。時々、作品集を出したりもするんだけど、丸山萌さんが本を作るのが上手だから、彼女に作ってもらったりして。日々希くんも遊びに来てくれましたよね。
折田
なんか短歌って、そういうコミュニティを作りやすいですよね。
千葉
『ひねもす』やってるしね。
折田
はい。なんだろうな、短歌っていうのが会話しやすいのか、歌人が話すのが好きな人たちなのか、どっちかわかんないんですけど。クーベルチップ歌会を主催するにあたって、たとえばこれが俳句だったら成り立ってたか、とかって、何か思うことありますか。
千葉
短歌と俳句の違いって言うと語弊があるかもしれないけど……、俺の勝手なイメージでは、俳句の方がセレブっぽいかな。前に句集の刊行記念会に行ったら、折り詰めの立派な弁当が出てきてさ。お手拭きもめっちゃ分厚くて、再利用できそうな感じのやつで、集まった人もみんなスーツ着用でネクタイとかね。すごくおしゃれを決めてきて。お金がかかってるぞって感じた。短歌だと、みんな普段着で来て、作品をただ熱心に読んで……。なんていうか、本気の勉強会でしょ。短歌のほうが学生文化に近いっていうか、大学の文芸サークルの延長みたいな感じ。上の人、下の人という差がなくて、大先輩だけど「奥村さんどうですか」「僕はね……」と始まっちゃうんですよね。そのフラットさがたまらない。
折田
結社とか、場所によっては上下とかあるのかもしれないですけどね。印象論にはなっちゃうかもしんないすけど、高村さん的に、俳句と短歌をラフさ・フォーマルさで言うと、やっぱり差ってあるんですか。
高村
そうですね……俳句の人が「短歌の方がサブカルチャーと親和性が高い」って言うのは聞きますね。あと、俳句はTwitterに投稿してもバズることが少ないんですけど、短歌はバズる。
一部の短歌は結構、何百リツイートとかされたり、何千いいねとかされたりするので、短歌って俳句よりバズるなって思います。だからそういう意味では、若年層に届きやすい詩型なのかなっていう気はしますね。
千葉
上坂あゆ美さんとか、よく歌がバズってたし……確かにそうだよね。
高村
『サラダ記念日』が出たのってSNSとかない時代ですけど、もしあの時代にSNSがあって、俵万智さんがもし一行で何かを出してたら、多分かなりバズったんじゃないかなって思うんですよね。ほら、岡本真帆さんの『傘もこんなに』とかも……。
千葉
「ほんとうにあたしでいいの?ずぼらだし、傘もこんなにたくさんあるし」だね。岡本さんだと、「平日の明るいうちからビール飲む ごらんよビールこれが夏だよ」とかもすごくバズったよね。
その3に続く!

