「かばん」6月号特集、「短歌探検隊」の対談の続きです。
今回はちばさとさんらがX(旧Twitter)でおこなった「スペース短歌」や、折田さんが参加している同人誌『ひねもす』についてうかがいました。
(文責・高村七子)
スペース短歌のこと、同人誌のこと
千葉
あとは去年六回、『スペース短歌』っていうのをやったんです。東直子さんにテーマを考えてもらったりしながら、本番は寺井龍哉さんと初谷むいさん、千葉の三人でスペースをやりました。寺井龍哉くんはラジオの出演回数も多いし、声がいい、語りがいい、何を振ってもすぐ答えてくれる人。初谷むいさんは本当に天然でいろんな言葉をぶつけてくれて、それで面白さが増していって。トークはどんどん達者になっていくし、最終回はもう初谷むいさんのライブみたいな感じで盛り上がってしまった。自分は二人を呼んでプロデュースしてたつもりだったんだけれど、二人のいろんな力で面白くなっちゃった。だからやっぱり、短歌は場の文芸だ、って思うね。
折田
最終的に『スペース短歌』って本にまとめて出されてたと思うんですけど、反響はありますか?
千葉
載った人も喜んでくれたし、特装版で初版が出ているから早く買わなきゃっていうのもあって、結構いろんな人の手に渡って良かったと思います。書評はこれから出てくるところだと思うので、どんな反響があるか楽しみですね。
そういえば、『ひねもす』は定期的にやってるの? もう終わりになっちゃうの?
折田
『ひねもす』の話はちょっと逸れちゃうんで、ショートに話すんですけども……。元々僕、同世代の人と全く関わりがなかったので、同世代の人と仲良くするっていう目的で集まったのが『ひねもす』だったんですよ。そこからただ集まるだけじゃなくて外向きに活動しようっていうのでネットプリントを発行して、同人誌出すことになったって流れで……なので、目的としては最初の時点で果たしちゃってるんですよね。同人誌創刊号を出して、この後どうするかっていうのは……どうしようかねーって感じで。もしかしたら創刊号で終わっちゃうかもしれないんですけれど。
『ひねもす』もそうですけど、ネットで同人を組むっていう方法は、今は結構やりやすくなってますよね。どうなんでしょう? 十年前とかと比べて。
千葉
確かに、雑誌作るハードルはあったと思うよ。かばんは割と自由で「ホチキス止めでも出しちゃうぜ」みたいな感じだったけど……。でも『ひねもす』を仮に今後作らなくても、名乗っておくのがかっこいいよ。折田日々希、カッコ かばん+ひねもす、カッコ閉じるって。
折田
同人って始めるのは簡単なんですけど、続けるのは難しいじゃないですか。それは「同人」が何なのかわからないまま始まってしまうからだと思ってて……。何か目的があって、それに向かってバチバチやり合う、技術を高め合うっていうのが本来の同人の姿だと思うんですけど、僕たちは仲良くするっていうのが最初の目的だったんで、読者が求める同人誌とはちょっと違うものだったかなって、今振り返ると思いますね。どういう形がいいのかは、結局わからないんですけれども。
ただ、なんていうんだろう……短歌の広がりとして、もちろん作品起点の繋がりっていうのはあるんですけど、そうじゃなくて、人起点の繋がりというか。人と一緒に何か作りたいって動機も結構ある気がしてて、そこをないがしろにしちゃいけないなと思うんです。文化的な観点だと、何においても短歌人口が増える分には良いことだと思うので……人口が増えた上で、どんな風に歌人を育てていくのか、いろんな本が出せるようになるのか、とか。出版社始め、たくさん増えた人口から今後どのような短歌シーンを作っていくのかは、気になってますね。ちばさとはどう思いますか。
千葉
まず『ひねもす』について言うと、同じ世代の人たちを集めてできたって、すごく良いことだと思うし、それは日々希くんの人柄だよね。小島涼我くんを見いだして友達になろうって言って、折ちゃんだったら一緒に組みたいって思わせる。そういうことができるのは、あなたのリーダーシップと人柄と作品そのものの魅力だよね。だから次の本を出さなくっても、『ひねもす』って名乗っておくかっこよさがあると思う。
あと今、短歌ブームっていうけれど、読者が増えたなって気はしますよね。自分は学校の本棚に歌集も置いているけれど、同僚の机の上に『短歌タイムカプセル』とか『短歌は最強アイテム』が置いてあって、俺の机から持っていった人がそのまま置き忘れたのかなと思って回収すると、「先生、それは俺の私物です。買ってきた本です」とか言われたり(笑)……他にも、枡野さんの本とか、東さんの本とか、同僚が普通に買って普通に読んでるんですよ。そういうのを見ると、読者が増えたなっていう気がするんですね。

